財団法人 一志町ふれあいの森林 狼谷協会 いちしちょうふれあいのもりおがみだにきょうかい
協会について
狼谷大黒天建立の由来
 一般財団法人一志町ふれあいの森林 狼谷協会は、一志町農業協同組合が、創立二十周年記念事業の一環として昭和五十九年十月に取得した約一・七ヘクタールの杉、檜の二十年生山林を、組合員の心の拠り所として、これを後世に残すため平成元年一月に設立した協会である。

 山林は水の源であり、水は農の源、農は命の源という思想を基本に、緑美しき狼谷の聖域に開運の神、福の神、生産の神としての農山神である「大黒天」を安置し、心の安らぎを求め、老若男女を問わず広く愛林の心を培う場となることを祈念して建立したものである。
一木一草に神宿る、自然との共生をめざす

●例祭は、正月元旦と、十一月二三日(勤労感謝の日)の年二回です。

狼谷大黒天
狼谷大黒天 狼谷大黒天 狼谷大黒天
狼谷大黒天 狼谷大黒天 狼谷大黒天
協会設立の趣旨
 長期にわたる木材価格の低迷、山林労働者の高齢化、林業経営諸経費の増加などによる林業生産活動の停滞に加え、大都市集中型の経済成長に伴う山村の過疎化の進行等の要因によって、森林の荒廃は限りなく進みつつある。
 それに伴い、山林への関心も希薄化し、人々の心は、自分たちの生活が、森林の恩恵を受けて営まれていることすら忘れ去ろうとしている。

 そんな中、当時の一志町農協では、農協創立二十周年記念事業の一環として昭和五十九年十月、一志郡一志町大字波瀬字松山に、一・七ヘクタールの杉、檜の二十年生の山林を取得した。
 その趣旨は、森林は水の資源であり、水は農の源、農は命の源という思想を基本に、地域の組合員が共有の山林を保有し、それに接することによって山を愛することと育てることを目的としたものである。

 この大いなる目的で取得された山林を、一志町農協から寄付を受けるにあたり、維持管理につとめ、その趣旨をより具体化する手段として、財団法人「一志町ふれあいの森林狼谷協会」を設立したものである。

 この基金による果実をもとに、森林を中心として、「森林(もり)と水と人間(ひと)とのふれあい」「森林(もり)と水と生活・産業(くらし)に関する活動への助成」「森林(もり)と水の文化の伝承」を三本柱として、関係機関の協力を得て、公共の福祉に資する活動の展開を図るものである。
 あわせて地域の発展と、活力ある農山村づくりを進めるものである。

狼谷協会設立の趣旨

■取得の経過
・昭和五十九年十月八日
波瀬老友会より山林取得
・昭和六十年一月一八日
波瀬 小畑 長氏より水田取得
・平成元年一月二十日
財団法人一志町ふれあいの森林狼谷協会設立認可(三重県指令農政第一〇八号三重県知事、民法第三十四条)
・平成元年三月二二日
三重県より保安林の指定を受く、(三重県告示第一八五号、森林法第三三条第三項)


■森林の所在地・面積等
一志町大字波瀬字松山七七六一番地
山林 三,一六〇平方メートル
一志町大字波瀬字松山七七六二番地の一六
山林 一四,一八一平方メートル
【面積計】
一七,三四一平方メートル

杉の井、掘削の所以 杉の井、狼谷大黒天水杉の井、狼谷大黒天水
 狼谷の谷あいは雨水が地下水となり、迂余曲折、めぐり廻って地中を潜りぬけ、やがて岩清水となり、僅かながら平坦地に湿原をつくる。

 地域住民は目ざとくこれを見つけ、天水利用の稲作に挑む。
 先ず、ケモノみちを踏みつけたりして道に広げる。そして土手を築き畦(うね)を構え畔(あぜ)を整えて水の確保に意を注ぎ、菅(すげ)の笠に隠される程の土地でさえ見のがさず、いわゆる小町農法を試みる。
また、自生する手ごろな木を伐り稲架(はさ)を組み皮を剥いで筧(かけひ)にし、水を田に呼び込んだりする。

 また、田の畔(ほとり)の畦沿いに手槌で打った稲架(はさ)のあしを引き抜くと、そこには美しい水がじきに穴からこぼれるのに出会う。以後、太めの杭を小づちで打ちこんで出水(真水)をたくわえる。そして冷たい舌ざわりの良い、この水を汲んで渇きをいやし、湯に沸かしてたて汁などつくり舌づつみを打つ。

 また、この辺地には、いたる所にとう薬(センブリ)、梅蔓草(うめづるそう・ゲンノショウコ)、かごん草、おとぎり草、りんどうなどの薬草が多く自生し、これら成分は初夏の腹調、真夏の暑気あたりにほどよく適応し健康の保持に及ぼしたことも見逃せない。

 事後、梅雨入りをみては、いち早く植付けを済ませ折に触れて田見まわりの黄昏、段々に広がる小町小町の一枚一枚に、いわゆる田毎(たごと)の月が照り今更ながら腰を伸ばして天を仰ぎ、そのすばらしさに満足し、悦に入った先人の姿が偲ばれる。

 このたび、全山杉檜の緑に囲まれた境内に、大黒天を翳す打出の小槌に想を得、農を支えた古人の水に対する苦労を呼びおこし、農の基(もと)は水にあることと合わせて井戸の掘削を発起する。
 そして、この9月吉日、準備万端整えて大槌を下したところ、きれいな真水がこの井戸に湧きだす。

 この水は数多い杉檜の大根小根を巡り山あいの干草の根を洗い、黄金の実を咀嚼した冷たい水でその昔、祈りをこめて町々に蓄えた水そのものと言える。また、山岳信仰の願いとも重なって銘水、霊水として広く重宝されよう。
 よって、この井戸を杉の井(すぎのい)と称し、この水を狼谷大黒天水、愛称を「小町」と名づけられる所以(ゆえん)である。


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